３月２０日から２２日までの３日間、日本原燃（株）の子会社が運営する六ヶ所ＰＲ
館がリニューアル・オープン記念のイベントを行った。そうでなくても、「子供騙し」
のＰＲ館と揶揄されていたが、この３日間は子供が好きそうなキャラクターをゲストに
招き、子供が来たがる催しに取り組んでいた。もちろん、少子化の時代だし、子供は一
人で行けないから、多くは両親と来る。場合によっては両親とジジ・ババが付き添いで
来る。だから、３人から５人でのグループで来るので、集客が増え、ＰＲ館の存在意義
も高まるというわけのようだ。

　私は２０日に行ったが、普段は殆ど来館者がないフロアーには小学1年生くらいの子
供連れが目立ち、総合体育館でのイベントに参加する車が駐車場に並んでいた。

　さて、何処がどう変わったのかというと、まず２階にあったウラン鉱石が３階に移
動。核燃サイクルの説明パネルの中に納まり、そこで説明を聴いたり、景色を見る間
に、たっぷりと被ばくしそうな感じだ。以前測定した際、ウラン鉱石を入れたボックス
の真上で自然界に比べて約１０倍高かった。それが放つ放射能が漂う空間に、一般の見
学者は短期間素通りするだけだが、そのフロアーには女性コンパニオンが映画鑑賞ホー
ルの前に座っている。そういう所に長時間座っているのは、決して好ましくはないだろ
うと思う。今度行ったら、忠告してあげたいと思う。

　なお、２階は以前に比べて、大幅にリニューアルした。展示物の中身が大きく変わっ
たので、一見の価値はあると思います。ただし、放射線の動きが見える装置（クラウド
チェンバー）は相変わらず。なにしろ、ＰＲ館で一番金がかかっている装置なので、な
くするわけにはいかない。その近辺を除けば、大きく模様替えした。

　そして１階では、むつ小川原開発用地の紹介ビデオがあり、しばらく故障していた使
用済核燃料のせん断装置が運転を始めていた。少し模様替えの部分もあって、新鮮な感
じがした。

　再処理工場の心臓部を紹介した地階には、新たに最終処分場に収納するオーバーパッ
クが展示された。各国の最終処分への取り組みも随所に見られ、大分意識的に最終処分
についての展示を増やしたと思う。ウラン濃縮工場のシリンダー系統を置いたスペース
が様変わりして、プルサーマルのパネル展示になりました。そして、使用済核燃料の輸
送の様子を映したビデオも、以前は反対派が映っていた（交差点を通る輸送だった）
が、今は専用道路を通る様子（つまり、反対派が映らない）に変わった。更に、低レベ
ル廃棄物の受け入れ方法や埋設方法を紹介したビデオが姿を消した。

　全体としてみたときに、前に比べてパネル展示が増えた気がした。それと、館内説明
用のイヤホンの貸し出しがなくなり、英語か日本語で説明を聴くスイッチが随所に用意
された。普段はがらがらに近いので、そのときにゆっくり説明を聞くなら便利かもしれ
ないが、多くの人がいるところで複数のスイッチが機能したら、ちょっと迷惑な感じも
した。

　それにしても、ただでゲームが出来るし、子供を遊ばせたいという思いもあるのかも
しれないが、どうして親はわざわざ再処理工場の一番近いところに連れて来るのだろう
か。不思議でならない・・・・と思っていたら、ちょっと意外な風景を目撃した。

　年配のお母さんらしき方と親戚を連れた若い男性が、パネルの前で立ち話していた。
その会話が、実に生々しかった。「・・・はどこで働いているんだ？」と聞かれたその
男性いわく、「ここと、ここと・・・（パネルを指差しながら）・・・試料を採取し
て、測定してるんだ」と言っていた。つまり、社員もしくは協力会社の社員が家族か親
戚を連れてきたという感じだった。その隣では、カップルの男性が女性に説明していま
したが、こちらも自分の持ち場の仕事の話の感じでした。

　同じ風景を思い出したのが、三沢自衛隊の航空祭。同じく、家族に問われて、「お父
さんはここで働いている」と整備した戦闘機の前で、制服の胸を張る自衛官を見たこと
がある。それと同じ感じがした。

　皆が皆、そうではないのかもしれないが、なにしろ多くの子供連れがごった返してい
た。これって社員が家族を連れて来ただけだったのかも知れないとも思えた。

　なお、リニューアルしたＰＲ館は一見の価値があると思うが、なるべくウラン鉱石の
前はすばやく通り過ぎるようにしましょう。そして、様々な展示物については、嘘がな
いかどうか確認するつもりで見たほうがいいです。もし見つけたら、コンパニオンに言
いましょう。

　それにしても、プルサーマルが滞っているのに、プルサーマルの展示を増やしたり
で、何か取り残された産業の末路を見る思いがします。しかも、肝心の再処理工場が、
ガラス固化で止まっているわけです。ＰＲ館が模様替えしても、リアリティーがないの
ですね。

　ちなみに、以前は年末年始のみの休業でしたが、最近は月末の月曜日がお休みの場合
もあるそうです。インターネットで確認したほうがいいでしょう。