日本原燃の役職者の多くは、大口出資者の電力会社からの出向社員である。彼らは、
電力会社からの出向というだけで役職が与えられているが、原子力の専門家に限られて はいない。火力発電や水力発電の現場で働いた者も、日本原燃に派遣されている。そし て、数年を経て、電力会社に戻っていくのである。
そして、電力会社の手がける原子力発電所では、定期点検等によって、多くの被ばく
者が生じているが、その内訳を社員と下請けで分けると、圧倒的に下請けの被ばく量が 多い。下請けの作業員が被ばくするのは当然で、電力の社員は被ばくを避けるという感 じさえする。
その差別感覚で日本原燃に出向した電力会社の社員には、自らが被ばくすることは念
頭になくて、地元で採用された社員や、下請けが被ばくするのは当たり前という感覚し かないのではないか。それゆえ、自分たちは被ばくしない場所にいて、被ばく作業を指 示しているだけになってしまうのだろう。
参考までに、独立行政法人「原子力安全基盤機構」が発行した原子力施設運転管理年
報の平成18年度判に、六ヶ所再処理工場における1998年度から2005年度まで の間の放射線業務従事者数と総線量と線量が公表されているので、添付した。なお、こ の表には、六ヶ所再処理工場での最大被ばく線量が記載されていないので、その数字を 原子力安全白書から拾って、整理したら以下のようになった。
原子力安全白書におけるその他の放射線従事者の最大線量(単位はmSv)
この表からは、「社員」に比べると、「その他」が多くの線量を被ばくしていること
が分かる。このように、社員の最大線量とその他の労働者の最大線量に大きな開きがあ る。このような差別が蔓延していることが当然という風潮は、即刻改められるべきであ る。「社員」も「その他」も人間同士であり、被ばくさせないことが当たり前とならな ければいけないのである。
なお、ここで私たちが改めて注目すべきは、日本原燃が発表しているトピックスとプ
レスリリースでは、2006年3月31日以前に、被ばく労働者が出たことが取り上げ られていないことである。2002年度と2003年度に最大線量を被ばくした方は、 どのようなトラブルが原因だったかが不明である。
各地の原子力発電所では下請け労働者が放射線被ばくによる障害を抱えたり、死亡し
てから労働災害の認定を訴えて、労災の認定を受けているケースがあるので、このお二 人の場合は、その後どうなっているかが気にかかる。
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4.なぜ「その他」に被ばく者が多いのか
5.漏水プールによる被ばく者の死亡
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