(財)原子力安全技術センターの運営するIINETホームページは、文部科学省か
らの委託事業で、我が国の核燃料サイクル施設の事故防止と安全運転維持を目的として 構成された事故・故障情報データベースシステムであり、世界の核燃料サイクル施設 (原子力発電所を除く)で発生した事故・故障情報や専門家による分析評価等を収録し たものである。
このIINETで、東海再処理工場での事故・故障情報を検索すると、1978年1
2月22日から1998年4月22日までの間に66回の事故・故障が起きていたこと が分かる。そのうち、30回は被ばくを伴うものであった。
東海再処理工場での技術的知見等は、すべて六ヶ所再処理工場に反映されることにな
っているが、被ばく事例への反省が生かされていれば起き得ないような被ばくが既に六 ヶ所再処理工場で発生している。ここに、30回の被ばく事例を細かく述べる余地はな いので、その当時の被ばく線量分布と平均被ばく線量を「原子力安全白書」から引用し て紹介する。
原子力施設に勤める以上、被ばくするのは回避できないのが当然と思われるかもしれ
ないが、不要な被ばくを回避するべきであるのは当然である。この中で突出しているの は、平成5年の50mSv以上の被ばく事例である。このときの事例では、作業員4人 が被ばくしたが、最大被ばく線量は90mSvで、組織線量当量が1700mSvだっ た。この線量は、法定線量限度を超えていた。
なお、この事例を除くと、多くの場合、社員と社員外で被ばく線量が大幅に違う場合
が目立つ。それは、結局のところ、社員外を人間として扱っていない、原子力事業者の 考えが背後にあるからではないだろうか。
六ヶ所再処理工場が本格操業すれば、各作業工程において、多くの被ばく者が生じる
可能性が高い。これは、年間210トン再処理を目標とした東海再処理工場での被ばく 者の数と、事業者である日本原燃がアクティブ試験中に3名の被ばく者を出した経緯か ら、想定した結論である。この想定が正しかったかどうかは、年間800トンの本格再 処理後になってからでないと実証できないが、その確証を得る必要はない。その様な悲 劇が起きる前に、無用な被ばくを回避するために、再処理工場は操業するべきではない のだ。
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1.被ばく労働問題について
5.漏水プールによる被ばく者の死亡
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