これまでの日本原燃の仕事は、どちらかというと、原子力の専門家でなければできな
いこととされてきた。それゆえに、青森県民を大量に雇用させることができないでい た。
ところが、専門知識がなくても、研修すれば働ける職種があるというので、三村申吾
青森県知事は、雇用の確保が図られるという一点だけを理由として、県内の企業に呼び かけて、研修を始めている。それは青森県庁のホームページにも掲載されているが、タ イトルが「平成19年度原子力発電施設等安全対策等研修事業のご案内」となってお り、「県では、県内企業が原子燃料サイクル施設や原子力発電所などのメンテナンス業 務へ参入することが出来るよう、県内企業が技術力を高め、知識を習得することを目的 として、原子力関連業務に関する研修事業を実施します。」と、呼びかけている。
研修項目は、@原子力基礎研修、A県内原子力施設調査研修、B放射線管理研修、C
危険物取扱講習、D特定化学物質取扱安全作業講習、Eポンプ分解・組立実技講習(実 技)、Fバルブ機器技能講習(実技)、G非破壊検査教育(レベル1・2)、H非破壊 検査教育(実技応用)、I県外原子力施設調査研修である。このうち、E、Fが再処理 工場内で行われる場所は、放射線が飛び交う危険な場所である。また、G、Hは喜友名 正さんの働いた業種であり、検査の際に真っ先に現場に入り、作業員の安全が確保でき る現場かどうかを、自らの身体で被ばくしながら線量を確認する作業である。いずれの 場合も、危険が伴う仕事であるのは間違いない。
三村知事が更に多くの県民がメンテナンス業務に就職することを目指す意気込みを示
しているのは、2006年3月に示された「新むつ小川原開発計画−世界に貢献する新 たな「科学技術創造圏」の形成を目指して−(素案)」である。
その資料2の6ページ以下に、「むつ小川原開発地区における開発に係る人口増加の
想定」が示されており、9ページの上から15行目に、(5)原子燃料サイクル関連 (除染・消滅等)産業(長期)に680人が住むことが予想されている。除染・消滅等 というのは、メンテナンスのことを指しているが、ここでの仕事に従事するのは、家族 と一緒に住む者を300人、単身者を150人としている。つまり、青森県知事として は、450人が除染・消滅等の作業に従事することを想定しているというわけである。
この新むつ小川原開発計画は、2006年の6月21日に閣議了解して、県の提案が
了承されたことになる。なお、むつ小川原開発計画に関する閣議了解は、1972年、 77年、85年に続き4度目となるが、これまで予定通りに進んできたというのではな い。国の支援を受けても、現実の開発計画が、結局は頓挫したというのがむつ小川原開 発計画の実態である。
今回の閣議了解が、すぐさま計画の実現に結びつく保証はないが、三村知事にも閣議
の関係者にも、除染・消滅等のメンテナンス作業が、いかに非人道的な仕事であるかが 理解できていないとしか思えない。
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5.漏水プールによる被ばく者の死亡
7.青森県知事が被ばく労働を進めるわけ
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